冬は花の咲く季節なのでしょうか?それとも水槽の管理が怠慢になるだけなのでしょうか?おそらく、後者であるとは思います。
今年の冬も水草の花が咲きました。今回は、パンタナルタヌキモの名前で知られる[Utricularia sp."pantanal"]です。

タヌキモの仲間は、食虫植物としても知られています。小さな袋状の捕虫嚢をつけ、水中の微生物等を捕獲し、栄養とするようです。水槽内では、二酸化炭素の添加量や、光の強さで、この捕虫嚢がよく発達したり細かく枝分かれし、非常に存在感のある草体になります。
また状態の良い環境で栽培していると、手に負えないぐらいの爆発的な繁殖力を見せます。現に、1ヶ月もあれば、一握りから、120cm水槽を埋め尽くすほどに増えます。
水質さえ合えば、簡単に栽培できることから、繁殖用の水槽に浮かべたりと、非常に重宝している水草です。今回花が咲いたのも、繁殖用に用意した水槽に浮かべていたものです。

これが花です。まるで蘭の仲間のオンシジュームによく似た花の形をしています。おもしろいことに、触手のように伸びた茎には、一つも葉が付いていません。あるのは、蕾と花だけです。おそらく、水上に適応した葉を持たないために、花だけが水上に出るものと思われます。
このような形態は、他の水草でも見られ、ブリクサショートリーフでも同じ様な花を確認しています。(残念ながら、写真はありません)

では花が咲いた環境を見てみましょう。例によって、冬場の乾燥時期に水位が下がった状態での開花です。
しかもこの水槽は、蛍光灯をリフトアップしている為、水面と蛍光灯までの距離は、約15cmほどあります。これなら、蛍光灯に当たって、焦げてしまう事はありません。
さらに今回は、ガラス蓋をしているため、水面から、ガラス蓋までの空間(5cm程)は非常に湿度の高い状態であった事です。その為、水上に芽が伸びてきても、乾燥で枯れてしまう事が免れたようです。
はじめのうちは、カイワレダイコンのような感じで伸びてきて、はじめて見つけたときは、なにか別の水草のものだと思っていました。そもそも、タヌキモの仲間は、完全水中型だと聞いていたので、花が咲くとは予想もしていませんでしたし、水上に出てくるとも思っていませんでした。伸びてきた茎をたどって、ようやくパンタナルタヌキモの芽だと確認出来ました。
そしてしばらくすると、黄色い可憐な花が咲きました。

さらに、今回は花が咲いてもそのままにしておいた為、なんと実が付きました!
花が咲いてから、およそ半月で写真の様な実になり、手で触ってみると、実がはじけて、中から種が出てきました。
花は1つしか咲いていないので、自家受粉して実を結んだようです。

おそるおそる実をさわってみると、実に亀裂が入っている事に気がつきました。そこで丁寧に皮をはがしてみると、中からまるでサッカーボールの縫い目のような6角形の種が出てきました。思ったよりも種の数は少なかったです。
花どころか、水上型があるとも思わなかったパンタナルタヌキモですが、まさか花が拝めるとは、、、、、他にこの花を見たことがある方はいるのでしょうか?もしかすると非常に珍しいものなのではないのかなと思いながら、今日も水換えをさぼるのでした。